
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

緊急確認って何?

非常ベルが鳴って消防車が来たけど何してるの?

どんな部隊が出場するの?

火災と紛らわしい煙がでてたら、どう対応するの?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、東京消防庁の緊急確認のことがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。
目次 非表示
火災の有無を緊急に確認する
東京消防庁の部隊が行う消防活動で「緊急確認」というものがあります。
これは、消防隊が現場に出場し、火災であるか緊急に確認することを言います。
どのような現場に出場するかと言うと…
火災と紛らわしい火や煙が見える
自動火災報知器などのベルが鳴動している
というものがほとんどです。
例えば…
【火災と紛らわしい火や煙が見える】
■マンションの屋上でオレンジ色の光(火みたいなもの)が見える。(通行人からの通報)
⇒消防隊が確認した結果、マンションの屋上にあるステンレス板に夕陽が反射していたもので火災ではなかった。
■ビルの屋上から白い煙があがっている(通行人からの通報)
⇒消防隊が確認した結果、ビル屋上のクーリングタワー(空調で利用される冷却装置)の蒸気で火災ではなかった。
■住宅の庭から煙があがっている(通行人からの通報)
⇒消防隊が確認した結果、庭で枯れ草を燃やしていて、火災ではなかった。
【自動火災報知器などのベルが鳴動】
■住宅から何かの警報音が鳴っている。(通行人からの通報)
⇒消防隊が確認すると目覚まし時計の音であり、火災ではなかった。
■火災報知器ベルのボタンを押してしまい、止め方が分からない。
⇒消防隊が火災ではないことを確認して、火災報知器の復旧して活動を終了した。
いずれの場合も、通報で「屋内からの焦げ臭い臭気がしない」や「明らかな炎を見えない」と聴取し、指令室が「緊急確認」として判断しているのです。

指令室に書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

どの部隊が出場するのか
「緊急確認」では、基本的にポンプ隊1隊と指揮隊1隊が出場します。
ポンプ隊の役割は、火災であった場合に早く放水できる体制を整えます。
現場近くの消火栓に停車し、消火水を確保しておくのです。
その上で、怪しい火煙やベル鳴動の原因を究明していきます。
もちろん、本当の火災であれば、予め用意していた消火水を使用して消火にあたります。
指揮隊の役割は、通報者と接触して事情を聞き、その内容から火災の有無を確認していきます。
怪しい火煙であれば、どの場所からどのように見えたのか聞き、指揮隊もその場所に行き、原因を究明をします。
自動火災報知器のベル鳴動であれば、受信盤でどの感知器が発報しているかを見て、その場所に行き、原因を究明します。
どちらの場合でも、火災であれば、指令室に連絡するとともに他の部隊を応援要請します。
もちらん、一緒に出場したポンプ隊にも火災であることを知らせ、消火活動の指揮をとるわけです。

指揮隊(大隊長)やポンプ隊(中隊長)について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。


緊急確認の本質
このように「緊急確認」は、最低限の部隊で出場することになりますが、これには理由があります。

少し話が長くなりますが、「緊急確認」の本質を書いていきます。
通常の火災通報であれば、近隣にある消防署や出張所からポンプ隊が5隊から8隊、はしご隊が1隊から2隊、特別救助隊・救急隊・指揮隊が各1隊と出場していきます。
ここで問題になるのが、新たに別の火災通報があった時の対応です。
近隣にある消防署や出張所にある部隊は出場しているため、隣にある消防署や出張所から部隊が出場しなければなりません。
火災現場までの距離が遠くなり、部隊の到着も遅れるため、その分被害が大きくなってしまいます。
こういうことを防ぐために「緊急確認」という部隊運用(部隊を出場させること)があるのです。
「火災と紛らわしい火や煙」「自動火災報知器などのベル鳴動」で、通報内容から火災の可能性が低いものは、最低限の部隊(ポンプ隊1隊と指揮隊1隊)で対応するのです。
こうすることで、近隣で別の火災が発生しても対応できる体制を整えているのです。
これが「緊急確認」の本質です。

ぜひぜひ消防の世界に!