
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

方面本部って何しているの?

方面本部のトップは誰?

方面本部の部隊ってあるの?

東京消防庁の方面本部はいくつあるか知りたい…
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、東京消防庁の方面本部のことがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。
東京消防庁の方面本部は10箇所
東京消防庁の管内は、10方面に分かれます。
下の東京消防庁ホームページ画像リンクをご覧ください。
東京消防庁管内
この方面ごとに「消防方面本部」が配置され、方面内の消防署を所管しています。
例えば…
3方面だと世田谷消防署庁舎4階に「第3消防方面本部」があり、目黒・世田谷・玉川・成城・渋谷消防署(4つの消防署)を所管してます。
各消防方面本部が所管する消防署は以下のとおりです。
第一消防方面本部
丸の内・麹町・神田・京橋・日本橋・臨港・芝・麻布・赤坂・高輪
第二消防方面本部
品川・大井・荏原・大森・田園調布・蒲田・矢口
第三消防方面本部
目黒・世田谷・玉川・成城・渋谷
第四消防方面本部
四谷・牛込・新宿・中野・野方・杉並・荻窪
第五消防方面本部
小石川・本郷・豊島・池袋・王子・赤羽・滝野川
第六消防方面本部
上野・浅草・日本堤・荒川・尾久・千住・足立・西新井
第七消防方面本部
本所・向島・深川・城東・本田・金町・江戸川・葛西・小岩
第八消防方面本部
立川・武蔵野・三鷹・府中・昭島・調布・小金井・小平・東村山・国分寺・狛江・北多摩西部・清瀬・東久留米・西東京
第九消防方面本部
八王子・青梅・町田・日野・福生・多摩・秋川・奥多摩
第十消防方面本部
板橋・志村・練馬・光が丘・石神井
所管とは?
所管(管理・監督)という言葉が少しかたい感じがしますが、実情は、方面内の消防署が行う業務や訓練、災害活動の支援などを行っています。
業務の場合を見ていきましょう。
例えば、各消防署が行う事務「立入検査」(消防法に基づき職員が建物や危険物施設に立入り火災予防上、問題がないか検査すること)がありますが、ここで建物に重大な違反があったとします。
そこで消防署の担当者は、方面本部の担当者に報告します。
方面本部は、その「重大な違反」について、本庁に報告するとともに法令や基準等を確認した上で今後の対応について考えて支援を行い、法的措置等が円滑に進められるように動いていきます。
訓練の場合を見ていきましょう。
例えば、大規模な訓練を担当する消防署があるとします。
そこの消防署の部隊だけではなく、方面内の特殊な部隊(機動部隊、特別救助隊、化学機動中隊)を訓練に参加させる場合は、方面本部に報告します。
方面本部は、その「参加させる(特殊)部隊」を本庁に報告するとともに、訓練に参加しても支障がないか判断します。
さらに支障があるならば、業務調整を行ったり、別の部隊を調整したりして、大規模な訓練が行えるように動いていきます。
災害の場合を見ていきましょう。
例えば、川の越水による大規模な災害があったとします。
広範囲に被害が及び、そこの消防署の部隊だけでは対応できないため、消防署は方面本部に応援を求めます。
方面本部は、本庁に報告するとともに、被害がでていない他の消防署(方面内)の部隊を出場させます。
このように災害が速やかに終息するように動いていきます。

業務、訓練、災害に分けて、方面本部が行うことを見てもらいました。
方面本部は、消防署と本庁の間に立って、消防署が行うことが円滑に実施できるよう支援しているのです。
言わば、本庁と消防署を繋ぐ架け橋的な存在だとも言えます。
方面本部長がトップ
消防方面本部は、その方面内の消防署を支援していくことが実情ですが、管理・監督することも役割として決められています。
本庁が推進している業務や本庁が決めたルール(基準など)がしっかり行われているか、または守られているか確認し、その状況次第では指導を行うことがあります。
例えば…
火災現場で火元建物の中に入る際は、筒先(水が出るホース)とライトを携行し、命綱の設定が必要です。
これは、本庁が決めた「隊員たちを守る大切なルール(基準)」です。
このルールが守られていなかった場合は、消防方面本部が指導することになります。
他の業務などでも同様の指導があります。
こういう意味で、消防方面本部は方面内の消防署を所管(管理・監督)していることになり、組織においても消防方面本部は、消防署よりも上位にあります。
人事においても、方面本部のトップである「方面本部長」が、消防署のトップである「消防署長」の上司になるのです。

東京消防庁では、消防署長の階級が「消防監」
方面本部長の階級が「消防正監」となります。
東京消防庁組織図(東京消防庁ホームページにある画像リンク)が分かりやすいのでご覧ください。
また、階級について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

方面本部指揮隊
消防方面本部には、指揮隊が配備されています。
消防署にも指揮隊がありますが、出場する基準が違います。
例えば火災ですが…
消防署の指揮隊は、火災があれば、ほぼ全ての事案に出場します。
方面本部指揮隊は、建物が激しく延焼している火災や逃げ遅れた人がいる火災に出場します。
これは、応援要請する部隊が増えて人命救出や延焼阻止の戦術が複雑になるため、消防署指揮隊の活動を支援するのが目的です。
そうすることで、建物が激しく延焼している火災であっても早く被害を抑えることができるのです。
さらに複合的な要素が加わった大規模な火災であれば、方面本部長が出場し、指揮する場合もあります。
その際は、方面本部指揮隊が中心になり、部隊管理や戦術などを考え、災害の早期終息を目指すのです。
方面本部指揮隊のもう一つ求められることが、先程も書いた「指導的な立場」です。
火元建物の中に入っている隊員が、筒先とライトを携行し命綱もつけて、安全な活動をしているか確認するのです。(これは一例です。)
その状況次第では、ただちに是正したりします。

消防署の指揮隊について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

消防救助機動部隊
第二、第三、第六、第八、第九の消防方面本部には、消防救助機動部隊(通称:ハイパーレスキュー)が配備されています。
ハイパーレスキューの配備場所と概要は以下のとおりです。
【第二消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都大田区京浜島1-1-4》
阪神・淡路大震災をきっかけに発隊し、木造住宅密集地域や京浜工業地帯を管内に有していることから、震災に伴う火災、倉庫火災、危険物火災(コンビナート)への対応力が強化されています。
【第三消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都渋谷区幡ヶ谷1‐13‐20》
長野県松本サリン事件、東京地下鉄サリン事件、茨城県東海村臨界事故、米国同時多発テロを受けて発隊してるため、NBC災害やテロ災害対応能力が強化されています。
【第六消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:足立区新田3‐37‐1》
福知山線脱線事故、多発する都市型水害を受けて発隊しています。木造住宅密集地域を管内に有していることや部隊が河川にアクセスしやすい立地にあることから、震災に伴う火災、水面上での水難救助への対応力が強化されています。
【第八消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都立川市泉町1156-1》
阪神・淡路大震災をきっかけに発隊し、当庁で唯一、震災とNBC災害の双方に対応できるマルチハイパーレスキューとして機能が強化されています。
【第九消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都八王子市鑓水2‐108‐2》
東日本大震災をきっかけに発隊し、山岳地域や林野等を管内に有していることから、土砂災害及び林野火災への対応力が強化されています。

NBC災害や水難救助活動について書いた記事もありますので、下にリンクを貼っておきます。



消防救助機動部隊は、車両や資器材が多いため、広い敷地が必要になります。
そのため、消防方面本部とは、違う場所に配備されています。(第八方面は、同じ場所です)
人員構成は、トップが総括部隊長(階級:消防司令)で、その下位に各部の部隊長がいます。
各部の部隊長が、それぞれの部隊にいる隊長や隊員を束ねているのです。
そして、総括部隊長や各部の部隊長の上司が方面本部長になります。

消防救助機動部隊の総括部隊長や部隊長について書いてた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

まとめ
東京消防庁の消防方面本部は、10箇所あり、その方面内の消防署を所管しています。
基本的な任務は、本庁と各消防署を繋ぐ架け橋的な存在として、消防署の業務、訓練、災害活動が円滑に行えるよう支援を行っています。
ただ、本庁が推進している業務や本庁が決めているルール(基準など)を行っているか、または守っているか、確認する役割もあります。
構成は、方面本部長がトップで、指揮隊や消防救助機動部隊(第二、第三、第六、第八、第九消防方面本部に限る)が配備されています。
複合的な要素が加わった大規模な災害では、方面本部長が出場し、現場の指揮をする場合があります。

消防士を目指す方が、消防方面本部を理解するのは少し難しいと思いますが、豆知識として覚えてもらえば、今後消防士になった時に役立つと思います。
ぜひぜひ消防の世界に!