
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

総括部隊長の階級は何?

消防救助機動部隊はハイパーレスキューのこと?

総括部隊長と部隊長の違いは?

消防救助機動部隊は何で方面ごとに分かれているの?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、東京消防庁・総括部隊長のことがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。
目次 非表示
通称・ハイパーレスキュー隊
東京消防庁の消防救助機動部隊は、通称ハイパーレスキュー隊と呼ばれています。
総括部隊長は、ハイパーレスキュー隊のトップになります。
さっそくハイパーレスキュー隊の人員構成や階級を見ていきましょう。
【消防救助機動部隊の人員構成】
①総括部隊長(消防司令)
消防救助機動部隊に1人いて、その機動部隊のトップになります。
正式に呼ぶならば…
「第二消防方面本部・消防救助機動部隊の総括部隊長」となります。
東京消防庁の消防救助機動部隊は、第二、第三、第六、第八、第九方面にありますので、総括部隊長は5人いることになります。(即応対処部隊と航空隊を除きます。)


総括部隊長は、下で説明する「部隊長」経験者で、各部の消防救助機動部隊を総括していることから、「総括部隊長」と言うのです。
②部隊長(消防司令)
消防救助機動部隊は、交替制(3部制)の勤務員で部隊が編成されています。

部隊長は、その部のトップになります。
正式に呼ぶならば…
「第二消防方面本部・消防救助機動部隊の1部・部隊長」となります。
そして、3部制であるため、他に2部・部隊長と3部・部隊長がいることになります。
東京消防庁の消防救助機動部隊は5部隊ありますので、部隊長は、15人いることになります。(即応対処部隊と航空隊を除きます)
部隊長は、その部の各部隊を束ねていることになります。
③各隊の隊長(消防司令補)
消防救助機動部隊には、3〜4の隊があります。(方面により異なります)
その各隊に各部1人の隊長がいます。
そのため、一つの消防救助機動部隊に隊長が9〜12人いることになります。
④各隊の隊員・機関員(消防士長、消防副士長)
各隊に隊員が4名程度、機関員が1名います。
一つの消防救助機動部隊に隊員が36〜48人程度、機関員が9〜12人いることになります。

消防救助機動部隊の特色や部隊編成は、消防方面本部によって異なりますので解説していきます。
消防方面本部について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

部隊編成
消防救助機動部隊には、各消防方面本部ごとに特色があります。
これは、発隊した経緯や配備場所によって、対応災害に違いがあるためです。
対応災害に違いがあるということは、隊や車両・資器材が変わってきます。
以下は、その解説になります。
【第二消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都大田区京浜島1-1-4》
阪神・淡路大震災をきっかけに発隊し、木造住宅密集地域や京浜工業地帯を管内に有していることから、震災に伴う火災、倉庫火災、危険物火災(コンビナート)への対応力が強化されています。
隊と主な車両・資器材は、東京消防庁ホームページのリンクを貼らせてもらいます。
■機動救助隊
■機動特科隊
■機動救急救援隊
【第三消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都渋谷区幡ヶ谷1‐13‐20》
長野県松本サリン事件、東京地下鉄サリン事件、茨城県東海村臨界事故、米国同時多発テロを受けて発隊してるため、NBC災害やテロ災害対応能力が強化されています。
隊と主な車両・資器材は、東京消防庁ホームページのリンクを貼らせてもらいます。
■機動科学隊
■機動救助隊
■機動救急救援隊
■資器材
■車両
【第六消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:足立区新田3‐37‐1》
福知山線脱線事故、多発する都市型水害を受けて発隊しています。木造住宅密集地域を管内に有していることや部隊が河川にアクセスしやすい立地にあることから、震災に伴う火災、水面上での水難救助への対応力が強化されています。
隊と主な車両・資器材は、東京消防庁ホームページのリンクを貼らせてもらいます。
■機動救助隊
■機動特科隊
■機動救急救援隊
■資器材
【第八消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都立川市泉町1156-1》
阪神・淡路大震災をきっかけに発隊し、当庁で唯一、震災とNBC災害の双方に対応できるマルチハイパーレスキューとして機能が強化されています。
隊と主な車両・資器材は、東京消防庁ホームページのリンクを貼らせてもらいます。
■機動救助隊
■機動特科隊
■機動科学隊
■機動救急救援隊
■資器材
【第九消防方面本部消防救助機動部隊】
《場所:東京都八王子市鑓水2‐108‐2》
東日本大震災をきっかけに発隊し、山岳地域や林野等を管内に有していることから、土砂災害及び林野火災への対応力が強化されています。
隊と主な車両・資器材は、東京消防庁ホームページのリンクを貼らせてもらいます。
■機動救助隊
■機動特科隊
■機動救急救援隊
総括部隊長の役割
先ほども書いたように、総括部隊長は、部隊長経験者です。
現任の部隊長と階級は同じですが、経験豊富であるため総括部隊長に選ばれています。
そのため、各部の部隊長よりも上位職であり、消防救助機動部隊全体を束ねています。
このことから総括部隊長には、重要な任務があります。
それは、以下のとおりです。
■消防救助機動部隊の人事関係
⇒機動部隊の車両や資器材は、専門的で特殊な資格や能力が必要です。また、的確な部隊活動はチームワークが必要ですから、適材適所の人事配置が鍵になります。このことから総括部隊長は、人事配置について大きな力を持っています。
■緊急消防援助隊
⇒日本の全国的な消防応援の制度で、被災地の消防力のみでは対応困難な大規模な災害に出場する部隊を言います。消防救助機動部隊は、緊急消防援助隊に組み込まれていきます。総括部隊長は、本庁と連携して部隊や人員を選定していきます。
■国際消防援助隊
⇒海外での大規模な災害に、事前に登録されている隊員が国際消防救助隊として派遣され、高度な救助技術を駆使する部隊を言います。消防救助機動部隊には、国際消防救助隊に登録されている人員がいますので、総括部隊長は、人員選定に際して業務調整などを行います。
■国などの重要人物視察の対応
⇒消防救助機動部隊の消防力は、世界トップだと言われています。このため、その状況を日本の主要な人や海外の役人などが視察に来ます。総括部隊長は、この日のスケジューリングを行い、当日は、庁舎、部隊、車両・人員などの説明を行っていきます。

総括部隊長は、部隊の育成にも力をいれています。
部隊長と連携して訓練を推進して人材育成をしたり、最新の資器材導入についても本庁と連携して、部隊活動のレベルが高まるよう行動しています。
特別救助技術保有者が目指すもの
消防救助機動部隊の人員のほとんどが「特別救助技術(レスキュー資格)」の保有者です。
総括部隊長や部隊長も同様です。
若い頃は、消防署のレスキュー隊に所属し、災害活動の経験を踏んで、消防救助機動部隊に選出されています。
さらに隊員として努力を重ねて、隊長に選出されていきます。
そのため、「特別救助技術」の保有者が総括部隊長や部隊長を目指す人はたくさんいます。
究極を言うと、ここをゴールに考えている人もいます。
それだけ、魅力とやりがいが詰まっていると言えます。
災害活動の最後の砦と呼ばれる「消防救助機動部隊」を束ねる総括部隊長。
消防を目指す人も「この職務」を目標に頑張ることは、大きな推進力になることでしょう。

ぜひぜひ消防の世界に!

