危険排除とは?《二次災害を防止する》

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学生
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消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

転職考え中
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危険排除って何?

学生
学生

どういう部隊が出場するの?

転職考え中
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二次災害ってどういうこと?

学生
学生

危険排除はどんな活動をするの?

と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?

この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。

最後まで読んでいただけたら、危険排除現場のことがざっくり分かると思います。

ちなみに私は、

バリー
バリー

消防士は「やりがい」があって最高!

プライベートも充実させてくれて感謝!

って想っている幸せものです。

消防士になりたい興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

危険排除とは


東京消防庁は、「危険排除現場」に部隊が出場し対応します。

危険排除とは、危険物や毒劇物等が流出した場合に、火災の発生を防止し、人的被害を少なくしたり、自然現象による危険を除去するために行う消防活動のことを言います。

例えば、オートバイが単独で転倒し、車体タンクからガソリンが流出してしまった現場があるとします。

運転手救護のために救急車が出場しますが、ガソリン(危険物)が流出しているということで、ポンプ隊や指揮隊も出場します。

ガソリンはそのまま放置しているとベーパーに引火して火災が発生する危険があります。

そのため、ポンプ隊はホースを延ばして万が一に備えて警戒します。

さらに油処理剤でガソリンを吸収させ、火災の発生危険をなくします。

指揮隊は、消防警戒区域を設定し、住人や通行人がガソリン流出付近を通行できなくして、人命危険に配意した活動をします。

このように危険排除現場では、二次的な災害が起こらないよう対応するのです。

他に危険排除の例として、

強風が原因で商店の看板が落下しそうになっている現場は、放置していると看板が落下して怪我をする人が出てしまうため、応急的に看板をロープで縛り、落下しないよう対応したり…

駐車場内で二酸化炭素消火設備が誤作動したため、人が中に入らないように応急的に警戒したり…

次のエピソードで紹介する「ガスの臭気」への対応をしたりします。

いずれの場合も危険要因をそのまま放置していると人的被害が発生する恐れがあるので対応するのです。

バリー
バリー

危険排除は、交通事故現場が一番多いです。

事故車両からガソリンやエンジンオイルの流出、さらにトラックに積載している危険物が外に放り出され、流出してしまうこともあります。

特に怖いのが、タンクローリーから危険物が流出することです。相当な量の危険物が流出するため、部隊も増強して出場し、火災が発生しないよう、人的被害が起きないよう活動していきます。

指揮隊のことを書いた記事がありますので下にリンクを貼っておきます。

消防署の大隊長とは?《経験から解説》


危険排除現場のエピソード


それでは、私が指揮隊の指揮担当だった頃に経験した危険排除現場のエピソードを書きたいと思います。

「屋外からガスのような臭気あり」と近隣に住む方からの通報。

ポンプ隊1隊と化学機動中隊の出場命令があり、指揮隊も出場。

大隊長が出場途上で「ガス会社が現場に向かっているか」確認するよう指示。

情報担当が総合指令室に聞くと「ガス会社が向かっている」ことが確認できた。

現場に着くと、ガス臭い匂いがする。

周囲を確認しても、その原因が分からない。

ガス会社はまだ来ていない。

化学機動中隊も着いたので、測定器により臭気の物質を特定するよう依頼。

その後も近隣住民から119番通報が続けて入電。

どの通報も「ガス臭い」との内容。

風向きが北であったことから、北側を重点に臭気の原因を探る。

すると…

住宅解体中の工事現場に行き着いた。

関係者から話を聞くと住宅基礎をショベルカーで解体中にガス管を傷つけてしまったらしい。

化学機動中隊が測定器により測定を開始。

「ガスの成分で間違いありません。可燃性ガスのため危険です」

化学機動隊長が言う。

住民の避難誘導



直ちに危険区域を設定し、ポンプ隊が連携して、その区域に居住する人の避難誘導を行う。

大隊長が指示する。

「人員輸送車(マイクロバス)を応援要請して、避難者の休憩場所として使ってもらおう」

指揮隊員が了解し、通信担当が総合指令室に人員輸送車の応援要請を行う。

その後…

人員輸送車が到着し、避難者を誘導する。

ガス会社の作業員が到着。

大隊長がガス漏れの経緯を説明する。

ガス会社作業員は、了解し、ガス管の配管図を確認している。

そして、該当するガス管の弁を探し出し、閉鎖することができた。

大隊長が言う。

「化学機動中隊は、ガス濃度の測定を継続」

化学機動隊長は了解した。

ガスの濃度は時間とともに薄まっていき、最終的に「0」になった。

大隊長がそれを確認して、全部隊の引揚げを決断。

最後に付近住民に対して、車両スピーカーで拡声をする。

「ガス漏れがあった配管の弁を閉鎖することできました。測定器でガスは検知しません。安心してください」

住民の人が安堵の表情をしている。

中には、私たち消防隊に対して頭を下げてくれる方もいた。

バリー
バリー

消防隊は、人命救助のことを最優先に考えて活動しています。

危険排除現場でも同様で、人的被害が起こらないよう最善の活動をしています!

ぜひぜひ消防の世界に!

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