
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

即応対処部隊って何?

即応対処部隊は何人くらいいるの?

どんな災害に出場しているの?

即応対処部隊に入りたいけど、どうすればいい?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、即応対処部隊のことがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。
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本庁の警防部救助課に所属
即応対処部隊は、近年頻発する自然災害に対応するため令和2年に発隊しました。
所属は、本庁の警防部救助課になります。
ただ、部隊が本庁(東京都大手町)にあるのではなく、葛飾区高砂の庁舎に配備されています。
人員が交替制勤務員39名(各部13名)に毎日勤務員が3名で合計42名います。
部隊は、即応情報隊と即応救助隊の2隊編成になっています。
各部に即応対処部隊長(階級:消防司令)がいて、即応情報隊(隊長と隊員)と即応救助隊(隊長と隊員)を束ねているのです。
車両は、7台(高機動救助車活動型、高機動救助車搬送型、全地形活動車、津波・大規模風水害対策車、高機能指揮支援車、指揮統制車、救助車Ⅱ型)です。
なお、災害の種類で車両や資器材を選定し出場していきます。

救助車Ⅱ型は、庁舎(葛飾区高砂)近くの区域で発生した災害にも出場しますよ。
任務は、消防署にあるレスキュー車と同じで、人命救助を行います。

役割と部隊
部隊の主な役割は、特殊車両や船舶で接近困難な場所まで先行し、そこでドローンを飛行させ災害の全体像を把握します。
この情報を出場する部隊に伝達・共有することで災害対応(戦術の立案)をしやすくし、早期災害収束を目的に行動します。
特殊車両や使用する資器材は以下のとおりです。
【即応対処部隊の車両】
・高機動救助車(活動型・搬送型)
水深1.2mまで走行可能で、可搬ポンプでの放水活動や人員・資機材の搬送が可能です。
・全地形活動車
泥濘地、急傾斜地等あらゆる地形を走行可能で、情報収集及び後続隊の進入路確保等が可能です。
・津波・大規模風水害対策車
水陸両用バギー等が積載され、大規模風水害による浸水地域等で機動的な消防活動が可能です。
・高機能指揮支援車
車両の両サイドが拡張して約70m²の室内空間を作り、指揮本部運営や被災者の緊急避難場所等に活用します。
・指揮統制車
室内を作戦室にでき、シャワー設備やトイレを備えています。
・救助車Ⅱ型
消防署に配置されているレスキュー車と同型です。人命救助のための資器材を約300種類積載しています。
【特殊資器材】
・全天候型ドローン
風雨の環境下でも、災害状況を確認し、人命検索等ができます。
・マトリスドローン
高性能カメラや赤外線カメラを搭載し、人命検索・情報収集に活用できます。さらに簡易な資器材の搬送ができます。
・エアボート
プロペラによる風力で前進するボートで、陸上や水陸が混在する場所でも活動できます。
・高機能救命ボート
高い浮力があり、最大20名の乗船ができます。瓦礫等がある浸水地でも活動でき、車椅子の方をそのまま救出できるスロープが搭載されています。

自然災害などの特異災害は、被害が大規模になりやすく、災害の全体像が掴みにくいです。
この困難性を補うため、即応対処部隊の車両や資器材があるのです。
部隊に入るには
即応対処部隊の隊員になりたい人は、東京消防庁採用試験に合格後、消防学校に入校します。
そこで消防士になるための基礎教育を受け、消防署に巣立っていきます。
消防署では、はじめはポンプ隊員として配属されます。
訓練に励み、災害に出場し、訓練や事務を行い、雑用をこなす。
ポンプ隊員としての基礎を築いていきます。
ここで、多くの職員がどの庁内資格を取得していくか選んでいくわけですが…
即応対処部隊を目指すなら、「特別救助技術」の資格を取るのがいいでしょう。
特別救助技術を取得すると、消防署にあるレスキュー隊になることができます。
そこで、訓練や災害で隊員としてのスキルを高めていき、「即応対処部隊」への異動希望を出します。
必ず希望がとおる訳ではありませんが、レスキュー隊でスキル向上の努力を続け、何年も異動希望を書くことによって道が開けていくでしょう。

ただ、即応対処部隊の全員が「特別救助技術」の資格を取得している訳ではありませんが、ほとんどの人は取得しています。
少数ですが、「ポンプ機関技術」「特別操作機関技術」(大型免許あり)の資格だけを取得している人がいます。
理由は、先ほど紹介した車両は、大型車両が多く、運転に道路交通法に定められている資格が必要な上、高度な運転技術が求められるためです。

特別操作機関技術について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

即応対処部隊の魅力
即応対処部隊の魅力は、近年増加している自然災害などに先陣を切って出場し、後続する部隊のために情報収集することで戦術を立てやすくし、災害の被害を最小限に抑えることができることです。
さらに、先陣を切った際、必要があれば人命救助の役割を担うこともできます。
また、緊急消防援助隊として、東京都だけでなく全国で発災する自然災害などの特異災害にも出場する機会が多くなるでしょう。
過去には…
2021年7月に発生した熱海市伊豆山土石流災害
2024年1月に発生した能登半島地震
2025年2月に発生した大船渡市山林火災
に出場し、災害の最前線に立ち活躍しています。
日本で発生する自然災害はますます増加する一方です。
そこで人命救助のために災害の最前線で活動できることは、消防士にとって誇らしいことです。

即応対処部隊のワッペンは「黒」を基調にバリー(セントバーナード)が使われています。
「黒」は他の色に影響を受けず、名誉や不滅の意味を持つ「月桂樹」をモチーフにデザインしているそうです。
特別な部隊なのが分かると思います。
ぜひぜひ消防の世界に!
